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緩和ケア病棟の入院条件と申し込みの流れ|家族で話し合っておくこと

文:大阪の長男 事実の確認:親のこと帳編集部公開日:緩和ケアと看取り

緩和ケア病棟に入院するには、本人と家族ががんであることと治すのが難しいことを医師から説明され、入院を希望していることが前提になります。日本赤十字社医療センターでは、申込書と主治医の診療情報提供書を郵送し、判定会議を経て、ベッドの空き状況に応じて入院します。

この記事の要点

  • 本人と家族の理解と希望が前提。本人が判断できないときは、代わりに決める家族を決めておく
  • 抗がん剤や延命のための処置、モニターによる管理は行わない
  • 申込書と主治医の書類を出し、判定会議を経て入院する。部屋の希望も申込書で選ぶ

申し込んだら、すぐ入れる?

緩和ケア病棟は、申し込めばすぐに入れるのか。次女が、入院の前提と申し込みの流れを長男に説明します。

緩和ケア病棟の申し込みの疑問の場面。タブレットのビデオ通話のケンが首をかしげ、ハナがお茶をすすっている
長男のケンは、緩和ケア病棟は申し込めばすぐに入れるものだと思っていました。実際には病院ごとに入院の基準と申し込みの手続きがあります。緩和ケアと看取りの記事をまとめて読む
緩和ケア病棟の入院の前提の場面。エリが人差し指を立て、主治医への相談と本人と家族の希望が前提だと説明している
まずは主治医に相談します。本人と家族ががんであることと治すのが難しいことを知り、入院を希望していることが前提になります。緩和ケア病棟に移ると決めたとき
緩和ケア病棟の申し込みの流れの場面。茶の間でエリがちゃぶ台に申込書と紹介状を並べて、出す順番を説明している
申込書と主治医の書類を出し、判定会議を経て、ベッドが空いたら入院します。日本赤十字社医療センターの例で流れをまとめています。緩和ケア病棟で家族が過ごした時間
緩和ケアの希望を書いておく場面。茶の間でハナが便箋に自分の希望を書き始め、タブレットのビデオ通話のケンがのけぞっている
母のハナは、さっそく自分の希望を書き始めました。本人の希望を元気なうちに聞いておくと、いざというときに家族の支えになります。緩和ケア病棟の費用
セリフを文字で読む
  1. 1コマ目
    • ケン:緩和ケア病棟って、申し込んだらすぐ入れるん?
  2. 2コマ目
    • エリ:まずは主治医に相談。本人と家族が病状を知って、希望していることが前提よ
  3. 3コマ目
    • エリ:申込書と主治医の書類を出して、判定会議のあと、ベッドが空いたら入院
  4. 4コマ目
    • ハナ:じゃあ私の希望は、いまのうちに書いとくわ!
    • ケン:決めるの早すぎやって!

漫画:親のこと帳編集部。登場する人物・団体はフィクションです。漫画の画像はCC BY 4.0で提供しています。

緩和ケア病棟には、だれでもすぐに入れるわけではありません。病院ごとに入院の基準があり、申し込みには主治医の書類と病院の判定が要ります。

この記事では、父が最後の二ヶ月を過ごした日本赤十字社医療センターの公表資料をもとに、入院の条件と申し込みの流れ、家族で話し合っておきたいことをまとめます。条件や手続きは病院ごとに違うので、実際に申し込むときは、希望する病院の案内を確かめてください。

緩和ケア病棟に入院できる人

日本赤十字社医療センターの緩和ケア病棟は、がんの治療が難しいと判断された人や、がんの治療を希望しない人のための病棟です。申し込みの前に、本人と親族で次のことを十分に話し合うよう勧めています。

  • 本人と親族がともに、がんであること、がんを治すことが難しいことを医師から説明されている(治療中の人は、今後治療が難しくなることを説明されている)
  • 本人と親族がともに、緩和ケア病棟への申し込みを希望している
  • 本人と親族がともに、緩和ケア病棟の特徴(下の「緩和ケア病棟で行わないこと」)を理解している

本人の意識がない、または認知機能の低下で理解が難しいときは、家族のだれかを、本人に代わって意思決定をする人にします。認知症があっても、その場の会話ができるなら、一度はがんであることを本人に伝えるよう求めています。病棟では、本人からの質問にうそをつかずに答えているためです。

緩和ケア病棟で行わないこと

同じ案内では、緩和ケア病棟では次のことを行わないとしています。

  • 抗がん剤など、がんを治すための治療
  • 透析、延命のための輸血、薬による血圧の維持、心臓マッサージ、人工呼吸
  • 心拍などのモニターによる管理

また、症状が落ち着いているときは、自宅への退院や、施設・病院への転院の調整を積極的に進めるとしています。緩和ケア病棟は長期療養のための病棟ではなく、症状を和らげて生活の場に戻ることを目標にしています。

申し込みから入院までの流れ

日本赤十字社医療センターの申し込みの書類では、次の流れになっています。

  1. 書類をそろえる:申込書(本人・親族が書くもの、医療者が書くもの)と、主治医の診療情報提供書(画像の情報、感染症を含む血液検査の情報、使っている薬の情報)
  2. 病院に郵送する:事前の電話連絡は要らず、書類の到着の確認は平日の日中に行われる
  3. 判定会議:原則として書類をもとに判定する。希望すれば、判定会議のあとに面談や緩和ケアの初診外来を予約できる(自費で、面談は30分5,500円)
  4. 看護師から連絡があり、ベッドの空き状況に応じて入院する

申込書では、入院の時期を「すぐに入院・転院したい」か「体調が悪くなったときに入院したい」から選びます。部屋は「有料の個室」「有料の個室から無料の個室への移動」「無料の個室のみ」から選びます。無料の個室はベッドが混み合うことがあり、有料の個室への移動を相談されることもあります。

わが家の場合

父と母は、祖母(母の母)が緩和ケアでお世話になったので、緩和ケアのことを知っていて、いざというときは緩和ケアに、と希望していました。自宅で母と訪問介護で看病を続けていましたが、看る側の負担が大きくなったときに、緩和ケア病棟に移ることを決めました。

入院のときは、無料の個室が空いていなかったので、有料の特別室に入りました。部屋の希望は、空き状況しだいで思いどおりにならないことがあります。費用は緩和ケア病棟の費用の記事にまとめています。

申し込む前に、家族で話し合っておきたいこと

  • 本人に病状がどこまで伝わっているか。本人と家族の理解と希望が、入院の前提になる
  • 本人が判断できなくなったときに、だれが代わりに決めるか
  • 延命のための処置をしないことを、家族みんなが納得しているか
  • すぐに入院したいか、体調が悪くなったときに入院したいか
  • 部屋の希望と、有料の個室になったときの予算
  • 症状が落ち着いて退院を勧められたときに、どこで過ごすか

迷ったら、がん相談支援センターへ

がん相談支援センターは、全国のがん診療連携拠点病院などにある、がんの相談窓口です。国立がん研究センターのがん情報サービスによると、その病院にかかっていなくても、だれでも無料で相談できます。日本赤十字社医療センターも、申し込みを考えている人に、がん相談支援センターへの相談を案内しています(電話での相談は平日9時〜16時30分、予約不要)。

よくある質問

緩和ケア病棟には、家族だけで申し込めますか?

日本赤十字社医療センターでは、本人・親族が書く申込書に加えて、医療者が書く申込書と主治医の診療情報提供書が必要です。まずは主治医に、緩和ケア病棟に申し込みたいことを相談します。

申し込んでから、どのくらいで入院できますか?

病院とベッドの空き状況によって違います。日本赤十字社医療センターでは、書類をもとに判定会議を行い、看護師から連絡があります。早めの入院を希望するか、体調が悪くなったときに入院したいかを、申込書で選べます。

認知症があっても、緩和ケア病棟に入院できますか?

日本赤十字社医療センターでは、本人が理解できない場合は家族のだれかを代理の意思決定者にすることを求めています。会話ができるなら、一度はがんであることを本人に伝えるよう求めています。病院ごとに基準が違うので、がん相談支援センターで確かめてください。

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出典