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遠くの墓を墓じまいして、通いやすい場所にお墓を設ける|改葬の手続きと新しいお墓の選び方

文:大阪の長男 事実の確認:親のこと帳編集部公開日:お葬式とお墓

遠くにあるお墓を墓じまいして遺骨をほかのお墓に移すには、今のお墓がある市区町村で改葬の許可を受けます。申請には、今の墓地の管理者が出す埋蔵の証明と、新しい納骨先の受け入れを示す書類が要ります。わが家も、遠方の菩提寺の境内にある墓の墓じまいを考えていて、母が亡くなったら子どもたちが通いやすい場所に新しくお墓を設けるつもりです。

この記事の要点

  • 遠方の菩提寺の境内にある墓の墓じまいを考えている
  • 母が亡くなったら、子どもたちが通いやすい場所に新しくお墓を設けるつもり
  • 改葬の許可は今のお墓がある市区町村で受ける。離檀料に明確な基準はなく、納得できなければ話し合い、困ったら消費者ホットライン188へ

遠くのお墓、どうする?

遠くにある先祖のお墓をどうするか、母と子どもたちがビデオ通話で話し合います。

遠方のお墓の墓じまいを考える場面。秋の茶の間でハナがほおに手を当てて考え込み、エリと卓上のタブレットの中のケンが話している
先祖のお墓は、遠方の菩提寺の境内の墓地にあります。父の遺骨はそこに納めておらず、家族は、この遠くのお墓の墓じまいを考えています。納骨しない選択
新しいお墓の場所の希望を話す場面。ハナが胸に手を当てて明るく話し、エリとタブレットの画面の中のケンが聞いている
母が亡くなったときには、子どもたちが通いやすい場所に新しくお墓を設けるつもりです。既存の考え方にとらわれず、家族が通える形を選びます。菩提寺があっても宗教者を呼ばなかった
改葬の手続きを説明する場面。エリが座卓に書類を広げて話し、ハナとタブレットの画面の中のケンが聞いている
遠くのお墓から遺骨を移すには、今のお墓がある市区町村で改葬の許可を受けます。申請には、墓地の管理者の埋蔵の証明と、新しい納骨先の書類が要ります。葬儀社の選び方
新しいお墓の場所を話し合う場面。タブレットの画面の中のケンが日本地図の真ん中を指さし、ハナとエリがあきれて汗をかいている
通いやすい場所は、きょうだいの住まいによって変わります。新しいお墓は、だれが受け継ぎ、だれがお参りを続けるのかも、家族で話しておきます。お葬式とお墓の記事をまとめて読む
セリフを文字で読む
  1. 1コマ目
    • ハナ:先祖のお墓、遠いのよねえ
    • エリ:墓じまいも考えようか
  2. 2コマ目
    • ハナ:私のときは、みんなが通いやすい場所にしてね
  3. 3コマ目
    • エリ:墓じまいの許可は、今のお墓がある市区町村で受けるの
    • エリ:お寺の証明と、新しい納骨先の書類が要るよ
  4. 4コマ目
    • ケン:通いやすいとこなら、大阪と東京の真ん中は?
    • エリ:そこ、だれも住んでないよ!

漫画:親のこと帳編集部。登場する人物・団体はフィクションです。漫画の画像はCC BY 4.0で提供しています。

僕は大阪に住む長男です。父は緩和ケア病棟で最後の二ヶ月を過ごし、亡くなりました。

先祖のお墓は、遠方の菩提寺の境内の墓地にあります。父の遺骨はそこに納めず、いまは実家に安置しています。家族は、この遠くのお墓の墓じまいを考えていて、母が亡くなったときには、子どもたちが通いやすい場所に新しくお墓を設けるつもりです。

この記事では、わが家の考えと、墓じまい(改葬)の手続き、お寺とのお金のこと、新しいお墓を選ぶときに確かめたいことをまとめます。

わが家の場合:遠くの墓の墓じまいを考え、通いやすい場所に新しく

遠くの墓には、父の遺骨を納めなかった

菩提寺の墓は遠方にあります。父の遺骨をそこに納める予定はなく、いまは実家の仏壇の横に安置しています。そのことは納骨しない選択の記事に書いています。

母が亡くなったら、子どもたちが通いやすい場所に

母が亡くなったときに、子どもたちが通いやすい場所に新しくお墓を設けるつもりです。遠方の菩提寺の墓は、墓じまいを考えています。

決まった形に、とらわれなくていい

お墓は先祖代々のものを守り続けるもの、と考える人も多いと思います。でも、それだけが答えではなく、既存の考え方にとらわれずに、家族が通いやすい形を選んでいいのだと、わが家では考えています。

菩提寺との関係は、菩提寺があっても宗教者を呼ばなかったの記事に書いています。

墓じまい(改葬)とは

墓じまいは、今あるお墓から遺骨を取り出し、墓石を片付けて墓地を返すことです。取り出した遺骨をほかのお墓や納骨堂に移すことを、法律では「改葬」といいます(墓地埋葬法 第2条)。

改葬をする人は増えています。厚生労働省の衛生行政報告例によると、全国の改葬の件数は、令和6年度が176,140件、令和7年度が191,212件でした。

改葬の手続き

申請先は、今のお墓がある市区町村

改葬の許可は、遺骨が今ある場所、つまり今のお墓がある市区町村で受けます(墓地埋葬法 第5条)。新しいお墓の場所や、自分の住んでいる市区町村ではありません。横浜市も、申請先は現在の墓地などがある市区町村役場になると案内しています。

申請に必要な書類

墓地埋葬法の施行規則は、改葬の申請書に、亡くなった人の本籍・住所・氏名、亡くなった日、埋葬や火葬の場所と日、改葬の理由、改葬先、申請する人と亡くなった人との関係などを書くと定めています(第2条)。あわせて、次の書類を付けます。

書類

内容

埋蔵の証明

今の墓地の管理者(お寺など)が、遺骨がそのお墓に納められていることを証明する書類

お墓の持ち主の承諾書

申請する人とお墓の持ち主(墓地の使用者)が違うときに要る

新しい納骨先の書類

新しい墓地や納骨堂の使用許可書など。施行規則の「市町村長が特に必要と認める書類」として求める自治体がある(文京区など)

文京区は、申請書は遺骨1体ごとに1通と案内しています。横浜市は、改葬許可証の手数料は無料で、埋蔵の証明には墓地の管理者が手数料をとる場合があると案内しています。

手続きの流れ

  1. 家族で話し合い、新しい納骨先を決める
  2. 新しい納骨先から、使用許可書など受け入れを示す書類を受け取る
  3. 今の墓地の管理者から、埋蔵の証明を受ける
  4. 今のお墓がある市区町村に改葬の許可を申請し、改葬許可証を受け取る
  5. 今のお墓から遺骨を取り出し、墓石を片付けて墓地を返す
  6. 新しい納骨先に改葬許可証を出して、遺骨を納める

横浜市は、改葬許可証は今の墓地の管理者には見せるだけで、新しい墓地の管理者に提出すると案内しています。

遺骨を自宅に置く・散骨するときは

取り出した遺骨を、ほかのお墓に移さずに自宅に置く場合や、散骨する場合は、厚生労働省によると、改葬の許可は要らないとされています(総務省東北管区行政評価局の資料)。ただし、墓地を返すための手続きは別に要ります。

お寺が埋蔵の証明を出してくれないとき

お寺など墓地の管理者が埋蔵の証明を出してくれないときの扱いも、国が示しています。総務省東北管区行政評価局の資料によると、市区町村はまず管理者に証明を出すよう指導し、それでも出されないときは、証明の代わりになる書面で受け付けてよい、とされています(昭和30年の厚生省の回答)。厚生労働省は令和8年1月の事務連絡で、代わりの書面の例として、お墓の写真や、証明を出してもらえない経緯を書いた申述書を挙げています。どの書面を求めるかは、市区町村の判断です。

お寺とのお金のこと:離檀料

墓じまいをして檀家をやめるとき、お寺へのお礼として「離檀料」を払う慣習があります。

国民生活センターには、遠方のお寺のお墓から近くの霊園へ遺骨を移そうとしたら高額な離檀料を求められて進まない、菩提寺に墓じまいを頼んだら規約にもない高額な離檀料を求められた、といった相談が寄せられています。

国民生活センターは、次のように助言しています(熊本市が「見守り新鮮情報」第424号を紹介したページより)。

  • 離檀料に明確な基準はなく、金額に納得がいかない場合は、基本的にはお寺などと話し合う
  • 墓じまいは勝手にはできず、お寺などが出す埋葬証明書などが要るので、家族や親族も交えてよく話し合う
  • 分からないことがあれば、消費者ホットライン「188」に相談する

総務省東北管区行政評価局のQ&Aでも、墓じまいでは墓地を元に戻す手続きなども要るので、契約の内容を確かめ、今の墓地の管理者とよく話し合って進めることが大切だとしています。

新しいお墓を選ぶ

お墓の種類

墓地埋葬法は、遺骨を納める場所として、墓地の中にある「墳墓」(いわゆるお墓)と、遺骨を預かって収める「納骨堂」を定めています。どちらも、都道府県知事(市や特別区では市長・区長)の許可を受けたものです(第2条)。

種類

特徴

一般のお墓

墓地の区画に墓石を建てて、遺骨を納める

納骨堂

建物の中に遺骨を収める

樹木葬・樹林墓地

墓地の中で、樹木を墓標にして遺骨を納める。東京都の都立霊園の樹林墓地は、シンボルツリーの元に多くの遺骨を一緒に納める

合葬墓

ほかの人の遺骨と一緒に納める

経営する主体によって、自治体の公営墓地、宗教法人などが経営する墓地、お寺の境内の寺院墓地などがあります。

公営墓地の申込みには条件がある

公営墓地は、申し込める人に条件があることが多いです。

自治体

主な条件(令和8年度の募集)

大阪市(市設霊園)

大阪市民で世帯主であること(申込日に住民登録が3か月以上)、1世帯1区画

東京都(都立霊園)

区画によって、都内に5年以上(合葬埋蔵施設は3年以上)住んでいること。一般・芝生の埋蔵施設などは、まだ一度も納めたことがない遺骨を持ち、その遺骨の祭祀の主宰者であること(改葬の遺骨は不可)

東京都の都立霊園のように、改葬の遺骨では申し込めない区画もあります。墓じまいをして遺骨を移すつもりなら、その遺骨で申し込めるかを募集の案内で確かめます。

子どもが通い続けられるかで選ぶ

わが家が新しいお墓に求めているのは、子どもたちが通いやすい場所であることです。お墓を選ぶときは、場所や費用だけでなく、だれが受け継ぎ、だれがお参りを続けるのかも、家族で話しておくと選びやすくなります。

よくある質問

墓じまいの許可は、どこでもらいますか?

今のお墓がある市区町村です。新しいお墓の場所や、住んでいる市区町村ではありません。

お寺に埋蔵の証明を出してもらえないときは、どうすればいいですか?

市区町村に相談します。国の示した扱いでは、市区町村がまずお寺に証明を出すよう指導し、それでも出されないときは、お墓の写真や経緯を書いた申述書など、代わりの書面で受け付けてよいとされています。

離檀料は払わないといけませんか?

離檀料に明確な基準はなく、金額に納得がいかない場合は、基本的にはお寺と話し合うことになると国民生活センターは助言しています。困ったときは、消費者ホットライン「188」に相談できます。

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出典