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納骨しない選択|遺骨を自宅に置く手元供養の体験と、知っておきたいこと

文:大阪の長男 事実の確認:親のこと帳編集部公開日:お葬式とお墓

遺骨を自宅に置いておくことは、墓地埋葬法に定めがなく、納骨の期限も法律にはありません。わが家は父の遺骨を実家の仏壇の横に安置していて、父がいつも家にいてくれる気がして、寂しくありません。ただし、遺骨を庭に埋めることはできず、散骨をするなら国のガイドラインや自治体の決まりに沿う必要があります。

この記事の要点

  • 父の遺骨は、お墓に納めず、実家の仏壇の横に安置している
  • 自宅での遺骨の保管は墓地埋葬法に定めがなく、納骨の期限の定めもない
  • 遺骨を庭に埋めることはできない。散骨は国のガイドラインと自治体の決まりを確かめる

お父さんは、まだ家にいる

仏壇の横に父の遺骨を安置している実家で、家族が納骨しない選択について話します。

納骨しないで自宅に安置する場面。実家の仏壇の横に白い覆いの骨箱とシゲルの笑顔の写真が並び、ハナが湯呑みのお茶を供えている
父の遺骨は、お墓に納めず、実家の仏壇の横に安置しています。先祖のお墓は菩提寺の境内にあって遠く、そこに納める予定はありません。遠くの墓を墓じまいして、通いやすい場所にお墓を設ける
手元供養の気持ちを話す場面。仏壇の横でハナがにっこりし、座卓に立てたタブレットの画面の中のケンが穏やかにほほえんでいる
遺骨が実家にあると、父がいつも家にいてくれるような気がして、寂しくありません。決まった形にとらわれず、家族に無理のない形を選んでいます。菩提寺があっても宗教者を呼ばなかった
遺骨の自宅保管と法律を説明する場面。茶の間でエリが指を立てて話し、ハナとタブレットの画面の中のケンが聞いている
遺骨を自宅に置くことは墓地埋葬法に定めがなく、納骨の期限もありません。ただし、庭に埋めることはできず、散骨は国のガイドラインと自治体の決まりに沿います。家族だけで見送ったお葬式
父の遺骨のそばで過ごす場面。ハナが骨箱と写真立ての横の座布団に座って満足げで、タブレットの中のケンがきょろきょろしている
母のハナは、父の隣を特等席と呼んでいます。いずれ子どもたちが通いやすい場所に新しくお墓を設けるときのことは、別の記事にまとめました。お葬式とお墓の記事をまとめて読む
セリフを文字で読む
  1. 1コマ目
    • ハナ:お父さん、今日もお茶をどうぞ
  2. 2コマ目
    • ケン:父さん、いつも家におるみたいやな
    • ハナ:だから寂しくないのよ
  3. 3コマ目
    • エリ:家に置くことは法律に定めがなくて、納骨の期限もないよ
    • エリ:でも、庭に埋めることはできないの
  4. 4コマ目
    • ハナ:お父さんの隣は、私の特等席よ
    • ケン:…ぼくの座るとこ、ある?

漫画:親のこと帳編集部。登場する人物・団体はフィクションです。漫画の画像はCC BY 4.0で提供しています。

僕は大阪に住む長男です。父は緩和ケア病棟で最後の二ヶ月を過ごし、亡くなりました。

父の遺骨は、いまもお墓には納めていません。実家の仏壇の横に安置しています。この記事では、わが家が納骨をしていない理由と、遺骨を自宅に置くときに知っておきたい法律の扱い、分骨や散骨のことをまとめます。

わが家の場合:遺骨は実家の仏壇の横に

先祖の墓には、納めないことにした

先祖のお墓は、菩提寺の境内の墓地にあります。ただ、そのお墓は遠く、家族は父の遺骨をそこに納める予定はありません。墓じまいも考えています。

母が亡くなったときには、子どもたちが通いやすい場所に、新しくお墓を設けるつもりです。それまでは、父の遺骨は実家に置いておくことにしています。

いつも家にいてくれる気がする

遺骨が実家の仏壇の横にあると、父がいつも家にいてくれるような気がします。お墓に納めていないことを、寂しいと感じたことはありません。

お墓は、亡くなったらすぐに用意して納めるもの、と思っている人も多いと思います。でも、わが家のように、新しいお墓を設けるまで自宅に置いておく選択もあります。決まった形にとらわれず、家族にとって無理のない形を選んでいいのだと思っています。

菩提寺との関係は菩提寺があっても宗教者を呼ばなかったの記事に、墓じまいと新しいお墓のことは遠くの墓を墓じまいして、通いやすい場所にお墓を設けるの記事に書いています。

遺骨を自宅に置いてもいいのか

自宅での保管は、法律に定めがない

お墓や納骨のことを定めた墓地埋葬法(墓地、埋葬等に関する法律)には、自宅で遺骨を保管することについての定めはありません。東京都保健医療局も、自宅の仏壇に骨壺に入った遺骨を置いている人からの質問に、墓地埋葬法では自宅での保管について特に規定はない、と答えています。

納骨の期限も、法律にはない

墓地埋葬法と、その施行規則には、遺骨をいつまでにお墓に納めなければならない、という期限の定めはありません。

庭に埋めることはできない

一方で、遺骨を自宅の庭などに埋めることはできません。墓地埋葬法は、遺骨をお墓に納めること(埋蔵)は、都道府県知事(市や特別区では市長・区長)の許可を受けた墓地の中でしか行ってはならないと定めています(第4条)。東京都保健医療局も、個人が庭などに墓地をつくることは法令上認められていないと案内しています。

遺骨を捨てることは、罪になる

刑法は、遺骨を捨てたり壊したりすることを罰しています(第190条、3年以下の拘禁刑)。自宅で保管していた遺骨を手放すときは、お墓や納骨堂に納める、散骨する、など正しい方法を選びます。

遺骨の一部を手元に置く「分骨」

遺骨の一部を分けて、別のお墓に納めたり、自宅で手元供養したりすることを「分骨」といいます。

分骨をするときは、分けた遺骨をのちにお墓や納骨堂に納められるよう、分骨の証明書をもらっておきます。墓地埋葬法の施行規則は、墓地や火葬場の管理者は、分骨を納めようとする人から求められたら、遺骨を納めていることや火葬したことを証明する書類を出さなければならない、と定めています(第5条)。

分骨するとき

証明書をもらうところ

例

火葬のとき

火葬場

千葉市の斎場は、事前に申し出て分骨証明書を受け取る(1件300円)。広島市は火葬場で交付(350円)

お墓や納骨堂に納めたあと

その墓地・納骨堂の管理者

広島市は、納骨済みの遺骨を分骨する場合は墓地・納骨堂の管理者から交付を受けると案内

広島市は、本骨(もとの遺骨)を移さない限り、改葬(お墓の引っ越し)の手続きは要らないと案内しています。手数料や手続きは自治体ごとに違うので、火葬場や墓地のある自治体で確かめます。

散骨という選択

散骨は、法律で禁止されてはいない

散骨は、遺骨を粉状にして、海や山などにまくことです。東京都保健医療局は、国が「墓地埋葬法には散骨を禁止する規定はない」という見解を示していると案内しています。法律に定めがないので、墓地埋葬法にもとづく手続きもありません。

なお、お墓から取り出した遺骨を自宅に置く場合や散骨する場合は、厚生労働省によると、改葬の許可は要らないとされています(総務省東北管区行政評価局の資料)。

国のガイドラインで決められていること

厚生労働省は、散骨を行う事業者に向けたガイドラインを示しています(令和2年度の研究で取りまとめ)。主な内容は次のとおりです。

項目

ガイドラインの内容

遺骨の形

形が分からないよう、粉状に砕く

場所

陸上はあらかじめ決めた区域(川や湖は除く)。海は、海岸から一定の距離以上離れた海域

まわりへの配慮

地域の住民、土地の持ち主、漁業者などの利益や宗教感情に配慮する。プラスチックやビニールの副葬品をまかない

事業者に求めること

約款を整えて公表する、契約は文書で結び費用の明細を付ける、解約に応じる、散骨証明書を出す、安全を確保する、散骨の件数や場所を年度ごとに公表する

国土交通省も、船で海に出て散骨するときの「海上散骨に関するガイドライン」を令和5年に示しています。

自治体ごとの決まりもある

散骨を条例などで制限している自治体もあります。

  • 北海道岩見沢市:散骨場の経営は市長の許可制で、散骨場以外での散骨を禁じている(届け出た区域を除く)
  • 宮城県松島町:だれでも、みだりに遺骨をまいてはならないと条例で定めている
  • 静岡県熱海市:海洋散骨は、市内の陸地から10キロメートル以上離れた海域で行うことなどを、事業者向けのガイドラインで定めている

散骨をするなら、散骨する場所の自治体の決まりを確かめ、ガイドラインに沿って散骨を行う事業者に頼むと安心です。事業者を選ぶときは、ガイドラインにある約款の公表、文書での契約と費用の明細、散骨証明書の発行を目安に確かめます。

よくある質問

遺骨を自宅に置いておくのに、届け出は要りますか?

墓地埋葬法には自宅での保管についての定めがないので、届け出の決まりもありません。のちにお墓に納めるときには、火葬場で火葬済みの記入を受けた火葬許可証(埋葬許可証)が要るので、遺骨と一緒に大切に保管しておきます。

納骨はいつまでにしないといけませんか?

法律に期限の定めはありません。わが家は、母が亡くなったときに子どもたちが通いやすい場所に新しくお墓を設けるつもりで、それまでは父の遺骨を実家に置いています。

遺骨を自宅の庭に埋めてもいいですか?

埋められません。遺骨をお墓に納めること(埋蔵)は、許可を受けた墓地の中でしか行ってはならないと墓地埋葬法で決められています。

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出典